HSPの製造現場、生き残り術

単調作業は苦手でも、地道な作業を積み重ねるのは得意

「装置がどうしても品質チェックをクリアしない」
定常的に起こっている問題を毎日地道にクリアしてきた10年間を追ってみようと思う。

装置自体は1台が軽く30メートル以上ある装置で、それを10台管理しなければならなかった。もちろん、1日にメンテナンスできるのは1台で、その1台を時間までにミスなく指定のメンテナンスをクリアすることが求められた。

これは◯◯アームが原因だ

長年やってくると、画面に表示されるゴミの塊の分布図だけでどこがいけないのかすぐに分かるようになっていった。ある日、画面の中央から少し右上にゴミかたまり、NGだった。

私:「なるほど、中央から少しずれてるんだな・・・ああ、あのアームか。」
と、原因が分かってから10秒後には既に原因を発見する、そこまできていた。30メートル以上ある装置のうち、どれだけの部品が擦れあい、ギアが周り、動作箇所が多いのか想像できるだろうか。それを10秒で想定し、カバーを開けてみると、案の定、シリンダーからゴミが出ていた。

ノートに書いてない

全て頭の中に記憶する、いわば絶対に自分のノウハウは共有しないことにしていた。どうせ、自分のチームだけがこなす仕事なので公に公開するする必要もなく、上司にメンテナンス記録さえ残せば問題ないので、適当に文章と図で残す。すると、時間が経って数カ月後に同じことが起こっても対処しにくいのだ。

HSPは過去の嫌なことは忘れにくいので、こういう事態にはとても向いている。

それって、会社にとって不利益だよね?

そう、情報共有しないのは間違いなく不利益、しかし、情報を渡してしまえば誰もができるようになり、私が必要なくなってしまうのだ。だから、職人と呼ばれる人たちは、仕事の特性も様々だろうが、マニュアルというものを全く残さない。

それに、チーム内にも派閥があったので、そいつらが困っているのを見ているだけでも「勝手にすれば?」という高みの見物だってできる。つまり、チームであっても結局は個人の能力が評価されるので、塩をくれてやる必要なんてないのだ。

どんどん自分の仕事として積極的に吸収していく

「いやいや、しんどくなるだけだし、同じことを繰り返してればいいでしょ?」

そう思いたくなる人も多いだろうが、それでは自分に付加価値が付かない。誰もが嫌がる仕事はどこにでもあるもので、部品の在庫管理は、

▶自分で交換サイクルを決めて
▶資材部とスケジュール調整
▶予算立案と予算進捗管理
▶結果を月報で報告
を、仕事をしながら全て自分でやっていた。本当はこんな仕事はしなくてよかったのだが、自分で立候補したのだ。そうすれば、

・この部品コストダウン出来ないかな▶技術と友達になる
・この部品時間延長できないかな▶品質管理部と顔見知りに
・この部品、もうちょっと改良を頼めないか▶技術と出張して部品を頼む
・この部品、交換サイクルを延長しよう▶部材管理者と毎月日程調整

なぜ、ここまでやるかというと、自分が担当していた部材だけで軽く年間2億円はかかっていたので、部材のコストダウンはすぐに利益に直結していたのだ。こういう地味な仕事の積み重ねでボーナスと昇給は最高ランクの評定を貰い、公務員のボーナス以上は貰ってたこともある。

もう一つは、仕事は自分で見つけるものであり、人から与えられるものではないからだ。これだけ裾野を広げておけば、研究や活動テーマには事欠かないし、コンスタントに利益へ貢献できた。

結局は自分に「付加価値」がつく仕事ができるか

付加価値がつかなければ、使い捨て、企業のコマで終わってしまう。

「彼が(彼女が)いないとこの部署は回らないから必要だ」

頼られる人材に育つ能力は、思慮深く、過去の失敗を繰り返しにくいHSPにとって、活躍の場になると私は思う。

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